“二十四節×七十二候”が教えてくれる、整える力と問いの感性
忙しいが口ぐせ?
気づけば、また1日が終わっていた。
やることは山ほどこなしたはずなのに、なぜか心が追いつかない。
スマホの万歩計はゼロなのに、脳内だけフルマラソン。
それ、“忙しい”状態です。
しかもこの「忙しい」という漢字、分解すると「心を亡くす」。
つまり、「忙しい」と言えば言うほど、「私、最近ちょっと心、亡くしているんです」と自白しているようなもの。
これで本当に、お客様に“本気で寄り添っている”でしょうか?
自分の心を整えることは、プロとしての信頼の“仕込み”でもあるのです。
「振り返る力」は最強のスキル
今の時代、「考えるより動け、しかも効率的に!」が合言葉のようになっています。
しかし、ビジネスにおいて最強のスキルは自分への問いかけ、つまり“振り返る力”だと私は思います。
うまくいったときも、うまくいかなかったときも、「何がどう作用して、どんな因果があったのか」を見直すことができる人は、次の一手に精度が出てきます。
とはいえ、「じゃあ振り返りましょう」と言われても、忙しい日々の中では、その時間すら取りづらいのが現実です。
そこで私は、「自然の節目」を活用するという発想を提案したいのです。
季節の変化は、私たちの“問い”のカレンダー
日本には「春夏秋冬」がある──
誰もが知っているはずのこの季節感すら、近年はあやしくなってきました。
地球温暖化の影響で、春と秋がどこかに姿を消し、「ほぼ夏、たまに冬」といった、二季制のような感覚になっているという声もよく聞きます。
でも、たとえ気候が変わっても、人の心が感じる“季節の節目”は生きています。
そこで注目したいのが、「二十四節気」や「七十二候」という、日本古来の時間の区切り方。
この二十四の節気には、さらに「七十二候」と細かく分けられます。
つまり、1年を72の季節に分けられるのです。
最初は、「細かすぎる!」と思いましたが、その言葉にはたしかに意味があるのです。
「そうか、先人たちは、目の前の移ろいを、こう感じていたのか。その時の気持ちを和歌にしたりしたのか。」などと気づきがあります。
たとえば──
・玄鳥至(つばめきたる)
・竹笋生(たけのこしょうず)
・梅子黄(うめのみきなり)
名前だけでも風情がありますが、正直こう思った方もいるかもしれません:
「つばめが来た」より、「メールが来た」「宅配便が来た」の方が、先に反応してしまう?(笑)
──それが今の私たち。
でも、そんな自分に気づくことこそが「振り返りの始まり」なのです。
「やるべきこと」ではなく、「気づくべきこと」に心を向ける
一般的なビジネスの計画表は、「やるべきことを管理する」ためのツールです。
数字を詰め、会議を並べ、期限に追われる。そうして、時間は乾いていきます。
一方で、新しく作成した、この「未来を耕すワークシート(24・72)」の真価は違います。
このワークシート「24・72」は、二十四節気と七十二候という自然の移ろいをヒントに、
あなた自身の“いま”をやさしく見つめ、整え、育てていくための設計です。
やることを詰めるのではなく、
「いま、何に気づくべきか」「どこに心を向けるべきか」を、
自然の節目から導き出す──それが、この設計の本質です。
たとえば「竹笋生(たけのこしょうず)」の頃なら、
「自分の中で芽吹いてきたことは何か?」
「成長のために、いまどんな“根”を張っておくべきか?」と問いかけてみる。
自然は、意外にもビジネスのヒントにあふれているのです。
鹿児島のことわざ「茶、いっぺ!」に学ぶ
鹿児島では、こんな言葉が昔から交わされます。
「茶、いっぺ!」
「まあまあ落ち着いて、まずはお茶一杯飲んでからにしなさい」。
焦っても、いきなり動かなくていい。まずは心を整えてからでいいんです。
この感覚は、ビジネスにおいても重要な“間”をつくります。
意思決定、提案、判断、育成──どれも「整ってから動く」方がうまくいくもの。
そしてこの「茶、いっぺ!」というひと呼吸の時間を、自然の節目ごとに習慣化することで、思考も行動も格段にしなやかになります。
心が整えば、“問いの感性”が育つ
振り返りの習慣がつくと、人は変わっていきます。
“正解を探す”癖から、“問いを立てる”感覚へとシフトしていきます。
この問いを立てる力こそが、変化の時代における最大の知性であり、AIに代替できない、人間らしい判断力=感性なのだと思います。
最後に──「季節の問い」に耳を澄ませてみませんか?
今日という一日が、ただのタスクの連続に埋もれるのではなく、
「今の自分に必要な問いは何か?」を、自然に導いてもらう。
それが、ビジネスにおける“心のゆとり”と、”問いの感性”を取り戻すということ。
さあ、茶、いっぺ!
次の一手は、整った心と、自然のヒントが教えてくれるかもしれません。