2025.07.14
──その一振りが、空気を変える。
バットを振らなきゃ、風は起きません。
ある日の西武ライオンズ。
見逃し三振が6つ。バットは振られず、試合は静かに終わりました。
試合後、西口監督はこう苦言を呈していました。
「振ってくれないと、何も起こらない。」
──どこか、ため息まじりの経営会議に似ています。
重たい空気。誰も声を出さないまま、時間だけが過ぎていく。
何かが変わるきっかけは、まだ訪れません。
でも、風は待っているだけでは起きません。
誰かが、最初に一振りする必要があるのです。
ビジネスの場でも、風を起こすのは“構えと一振り”。
新しいプロジェクトが進まないとき。
会議が湿った空気に包まれているとき。
空気を変えるのは、最初に一言を発した人だったりします。
しかも、「言ってやった」と肩に力が入った発言ではなく、なにげない一言が場を和ませ、風を起こすことがあります。
構えすぎず、でも決して無防備ではない。
自然体のように見えて、実は周到に準備された言葉。
それが、空気を変える一振りになるのです。
自然体の裏には、仕込みがあります。
イチロー選手は、バッターボックスで何度も構え直します。
一見すると無駄にも見えるその動きが、すべて“準備”なのです。
「準備ができていれば、怖くない。
できていなければ、怖くて振れない。」
構えた瞬間に思い切って振れる人は、
その前に、人知れずじっくり整えている人です。
流れるような自然体ほど、実は驚くほど緻密に仕込まれています。
それを見せずに涼しい顔をしている──
それこそが、本物の構えなのかもしれません。
仕込みは深く、扇ぎはさりげなく。
風がほしいなら、ただ待つのではなく、
すっと構えて、さっと扇ぎ、風を起こしていくことが大切です。
バットがなければ──
ビジネスの世界では、扇子くらいはそっと忍ばせておきましょう。
その風が、場を変え、人を動かすこともあります。
その場で、誰かにこう尋ねられるかもしれません。
「なんでそんなに自然に動けるんですか?」
そんなときは、力まず、さりげなく。答えましょう。
「ちょっと、扇子で扇いでみました。」………
──これがホントの、ビジネスセンス!?(笑)