企業を知るには商号から
普段、何気なく目にする「商号」(=会社名)ですが、これに着目すると、とても面白いことが分かります。
経営者が、新規取引を開始する際、相手企業の実態把握をするうえでは、まずは「商号」(=会社名)の由来に注目することが大事です。
商号の由来は、会社のホームページの会社概要等に記載されていることが多いのでチェックしましょう。
商号の由来
鹿児島の老舗デパートなのに、なぜ、山形屋?
たとえば、鹿児島の老舗デパート「山形屋」のホームページをみると
「山形屋の始祖・初代源衛門は江戸中期元文3年(1738年)に出羽国山形に生まれる。
宝暦元年(1751年)当時山形の経済を支えていた紅花仲買と呉服太物行商を興し、
大阪・京都へ立ち回り、大活躍をしていた源衛門が薩摩入りを決断したのは、
薩摩藩主・島津重豪の商人誘致政策を機として薩摩入りをし、木屋町通りに店を構え
た。」
とあります。
「鹿児島の老舗デパートなのに、なぜ山形屋という商号なの?」
という鹿児島県民の素朴な疑問も解消できます。
このように商号の由来を調べると、企業の創業時を深く知ることに繋がります。
ちなみに、現在は一般的になっているデパートの「友の会」組織は、この山形屋の「七草会」が日本初。
つまり顧客の組織化である「友の会」というビジネスモデルを作った革新的デパートだということも分かります。
大企業の商号例
大企業の商号では、ブリヂストンがとても有名ですね。
創業者石橋家のブリッジ(橋)とストーン(石)に由来しているそうです。
また、ニッカウイスキーのニッカは「大日本果汁」の略とか、
ダスキンは、ごみ(ダスト)+雑巾の巾(キン)の合成語、
ジュンク堂書店は起業した社長の父親、工藤淳氏に由来するなど
調べれば、商号のつけ方もさまざまであり、こういったケースなど知っておくことも、
取引先との話題として幅が広がります。
また、最近よくあるケースとしては、金融機関など合併会社同士の商号を、ただ並べ
ただけでのやたら長い商号もありますが、これは、さながら古典落語「寿限無」
のようですね。(笑)
商号を深く知る効用
後継経営者の効用
また、後継経営者にとっては取引先だけでなく、自社の「商号」の由来を調べておくこ
とは必須事項です。
商号は経営理念と同様に、先代から引き継ぐ事業と徹底的に向き合う第1歩になります。
時代背景の違いからくる価値観の違いはあると思いますが、まずは商号や経営理念を通じて、先代経営者のコアコンセプトを後継経営者が理解し、それを土台に新たな自分のコンセプトを加え、ビジョンを構築していくことが求められます。
金融機関担当者、コンサルタントの効用
商号を深く知ることは後継経営者だけでなく、金融機関担当者、コンサルタントとしても心得ておくべき基本中の基本作法だと思います。
企業訪問する際は、ホームページ等で事前に調べておいて、不明な点、詳しく確認したい点、
経営者の想いや創業当時の苦労話などを質問していく姿勢が重要です。
こうした姿勢は、特に新規取引時は、その会社を深く知り信頼関係を構築したい気持ちの表れ
と好感され、経営者の創業時の思い、苦労話、会社発展の歴史まで熱く語っていただけること
がよくあります。
ただし何も調べもせず、形式的に「商号の由来を教えてください」では逆効果ですので注意
してください。
なお、商号についてヒアリングする際は、創業経営者には長い歴史と強い想いがあるの
で、長くなりがちです。
最低2時間は確保しておきたいものです。(笑)
二木宏造
鹿児島の経営コンサルタント 認定キャッシュフローコーチ®
経営理念を起点にビジョンの実現に向け、経営者を徹底サポートする専門家、フィロソフィパートナーとして 鹿児島・宮崎を中心にコンサルティングを展開。
また企業向けセミナーでは「脱☆ドンブリ経営!実践セミナー」や、「明快Vノート」を活用した「実践!セルフマネジメントセミナー」等で経営者、経営幹部、管理職から新入社員まで、分かりやすく実践的な社員研修に情熱を注いでいる。